こんにちは。横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」です。
日本歯科医師会が行った調査では、10~70代の方の約8割が口臭に悩んだ経験があるとしています。口臭を引き起こす原因はいくつかありますが、歯周病も口臭を引き起こす一つの要因であるということをご存じでしょうか。
本記事では、歯周病と口臭の関係性について詳しく解説します。口臭が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
参照元:公益社団法人 日本歯科医師会「10代〜70代の男女1万人に聞く、お口の臭い調査」
歯周病は口臭を引き起こす?
口臭の最たる原因は歯周病で、歯周病によって発生する口臭を病的口臭と呼びます。歯周病は、歯肉溝に溜まったプラークに含まれている歯周病菌によって引き起こされる病気です。
初めのうちは菌も微量なので口臭も軽度ですが、歯周病が進行して歯周ポケットを形成すると口臭は悪化します。歯周ポケット内で細菌が増殖して、ガスを発するためです。
特に、歯周病菌は嫌気性菌です。酸素を嫌う性質があるため、歯周ポケットのように酸素が届きにくいところにとどまれば、増殖スピードは増していきます。歯周病の進行と口臭の強さは、比例すると考えておいても良いでしょう。
歯周病だけが口臭の原因ではない
歯周病が口臭の最たる原因であると解説しましたが、歯周病のみが口臭の原因になるわけではありません。生理的口臭といって、唾液の分泌量の変動によって起こる口臭もあります。
また、歯周病が該当する病的口臭は、歯周病以外にも虫歯や入れ歯の不具合、腎臓や呼吸器、消化器、肝臓など身体の他の場所が病気になっていても発生します。さらに女性においては、女性ホルモンの変動によって口臭が強くなるケースもあります。
口臭の原因は数多くあるので、自身で特定することはできません。そのため、口臭が気になった方は自身で判断せず、歯科医院を受診しましょう。
歯周病で口臭が起こる原因
歯周病で口臭が起こる原因は、歯周病菌が発生させるガスが関係しています。歯周病菌は代謝の過程で、硫化水素やメチルメルカプタンという揮発性硫黄化合物(VSC)を放出します。このガスが口臭の原因です。
特に、メチルメルカプタンは歯周病によって増えることもある上に、歯周病と最も関連性が深い細菌です。歯周病の進行も助長するとされています。
歯周病で起こる口臭はどのようなにおい?
歯周病菌は1種類ではありません。菌によって発生させるガスが異なるため、発生する口臭も人によって異なります。
歯周病によって起こる主な口臭の特徴は、以下のとおりです。
たまごの腐ったような臭い
硫化水素によって引き起こされる臭いで、歯周病による口臭の臭いで2番目に多いとされています。歯垢や舌の汚れによって発生するため、歯周病になっていなくても起こる可能性があります。
メチルメルカプタンによって発生する臭いよりも弱いものの、人に不快感を与えるケースが多いです。
腐った玉ねぎのような臭い
歯周病によって起こる口臭で最も多いのが、腐った玉ねぎのような臭いです。メチルメルカプタンが原因で引き起こされている臭いで、硫化水素の10~ 20倍ほど強い臭いと言われています。
歯周病以外では起こりえない臭いとされているため、腐った玉ねぎのような臭いがしたら歯周病を疑っても良いでしょう。なお、メチルメルカプタンはおならにも含まれているガスであり、おならの臭いに近いとも表現されます。
生ゴミのような臭い
生ゴミのような臭いは、ジメチルサルファイドという揮発性硫黄化合物が原因と考えられます。磯の臭いにも含まれているため、魚介系の口臭がすると表現する方もいます。
歯周病が原因になる他、体のどこかに病気がある場合にも発生する口臭です。
歯周病で起こる口臭のチェック方法
自身には口臭があるのか、どの程度なのかを知りたい、歯周病によって起こっているのかも知りたいという方に向けて、ここでは簡単なチェック方法を解説します。
セルフチェックをする
口臭はセルフチェックできます。未使用の紙コップやビニール袋、清潔なグラスに息を吹き込み、その臭いを嗅いでチェックします。デンタルフロスで歯と歯の隙間をお掃除し、その臭いを嗅ぐことでも口臭チェックができるでしょう。
お金や時間をかけずに簡単にチェックができますが、複数の臭いが混ざっていると歯周病による口臭かどうかは特定できないかもしれません。また、自身の口の臭いは普段から嗅ぎなれているということもあり、適切な評価ができない可能性があります。
歯周病の症状の有無をチェックする
口臭とあわせてチェックするべきなのが、歯周病の症状の有無です。口臭がありなおかつ歯周病の症状があれば、歯周病による口臭であると考えられるでしょう。
歯周病の症状は次の通りです。
- 歯茎が腫れる
- 少しの刺激で歯茎から出血する
- 食べ物が歯の間に挟まりやすい
- 口の中がねばねばしている
- ぐらぐらしている歯がある
これらの症状があり、なおかつ口臭が発生している場合には、歯周病によって口臭が発生している可能性が高いです。
口臭チェッカーを活用する
口臭チェッカーとは、自身の口臭を数値化できるものです。数値化できるので、口臭の程度を目で見て知ることができます。インターネット上や店舗、あるいは歯科医院で市販されており、数千円で購入可能です。
様々な臭いに反応してしまい、歯周病によって起こっている口臭かどうかをチェックすることができないものもあります。
歯科医院を受診してチェックしてもらう
歯科医院を受診してチェックしてもらうのも有効です。特に、鼻が詰まっていたり、臭いを感じにくかったりする方は、セルフチェックでは口臭の程度が分からないかもしれません。
歯科医院で専門知識を持つ医師から客観的にチェックを受けることで、自身の口臭の有無や程度が分かります。口臭を専門的に数値化する機械が用意されている歯科医院もあるため、より具体的に口臭の有無と程度が理解できるでしょう。
また、歯科医師は口臭の有無や程度とあわせて、口臭の原因もチェックしてくれます。自身の口臭が歯周病によって発生しているのかどうかも併せて分かるため、すぐに治療に移れます。
歯周病の初期症状と重度の症状の見分け方
歯周病は、経過によって症状が変わってきます。歯周病の初期と重度の症状の見分け方を理解していれば、それぞれに適した対応がとれるでしょう。
歯周病の症状の分け方について解説します。
初期症状
歯周病の初期の状態のことを歯肉炎と呼びます。通常ならピンク色をしている歯茎が、炎症によって真っ赤になることが特徴です。また、歯茎が腫れているため、歯磨きによって容易に出血します。
歯茎が腫れると歯と歯茎の間に隙間ができることもあります。2~3mm程度の歯周ポケットが形成されます。
中期の症状
初期の歯周病からさらに進行した歯周病を、歯周炎といいます。歯肉炎よりも炎症が悪化するため、少しの刺激でも容易に出血し、人によっては痛みを伴います。歯周ポケットもさらに深くなり、3~5mm程度にまで広がります。
歯周ポケットが深くなると歯周病菌がポケットに侵入し、急速に細菌が繁殖します。そのため、この頃から口臭が発生しやすいと考えられています。
重度の症状
重度の歯周病になると、歯周病菌が歯槽骨まで達して歯槽骨を破壊し始める為、歯がぐらつきます。膿も出てくるため、強い痛みを感じることもあります。
歯周病の重度では歯周ポケットの深さは6mm以上となっており、人によっては歯がそのまま抜けてしまうこともあります。
まとめ
歯周病は口臭の最たる原因と言われているため、口臭が気になる方は歯周病が隠れているかもしれません。歯周病が原因の場合には、玉ねぎの腐ったような臭いがすると言われています。
ただし、歯周病菌はいくつか存在するため、臭いが混ざり他の臭いがするかもしれません。口臭は自身でもチェックすることができる為、気になる方はまずセルフチェックをしてみましょう。
口臭に加えて歯周病の症状もある場合には、歯周病による口臭の可能性が極めて高いです。歯科医院を受診して治療してもらう必要があるでしょう。
自身で口臭をチェックすることが難しい場合には歯科医院でも口臭チェックをしてもらえます。歯科医院ならば歯周病の症状も併せてチェックしてもらえるため、一度受診してみてはいかがでしょうか。
口臭にお悩みの方は、横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、虫歯・歯周病治療、インプラント、小児歯科、ホワイトニングなど、さまざまな診療に力を入れています。診療案内ページはこちら、ネット診療予約も受け付けておりますので、ぜひご活用ください。