こんにちは。横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」です。
子どもの矯正の治療法の1つに、急速拡大装置があります。顎の骨を効率的に拡大し、歯が生えそろうためのスペースを作る装置です。
「どんな効果が期待できるのだろう?」「どんな注意点があるのだろう?」「費用は高いの?」など、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、急速拡大装置について解説します。急速拡大装置で治療するかお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
急速拡大装置とは
急速拡大装置は、固定式の拡大装置で上顎の幅を広げてスペースを作るために使います。急速拡大装置の目的は、顎骨の幅を広げることです。
急速拡大装置は、歯並びをきれいに整えるために土台作りをする治療です。装置の中央についているネジを回すと、装置が少しずつ広がり顎の骨も広がるという仕組みです。急速という名前の通り、効果が出やすく数週間で変化が見られるケースも見られます。
急速拡大装置の対象年齢
急速拡大装置は、顎が成長する時期である6歳〜12歳の間に使用するのが効果的です。この時期は骨も柔らかいため、治療効果が出やすいのです。場合によっては18歳〜20歳でも使用することもあります。
急速拡大装置で期待できる効果
「顎の骨を広げるとどんなメリットがあるのだろう?」と感じた方もいるでしょう。急速拡大装置による治療で期待できる効果は、次のとおりです。
抜歯のリスクが減る
先に顎の骨を広げれば、矯正治療の際に抜歯のリスクが減ります。歯並びが悪くなる原因の1つは、顎の骨の成長が不十分で歯が生えるスペースが足りないことです。歯の大きさや数に対して顎の骨が小さいと、少ないスペースに歯が詰まって生えるのです。
そのため、歯が重なり合ったりガタガタしたりと、歯並びが悪くなるのです。その状態で矯正治療をすると、抜歯が必要となるケースも少なくありません。
歯の数が減ると、歯1本あたりにかかる負担が大きくなりますので、抜かずに治療できるのが理想的です。骨が柔らかく成長過程にある子どもの時期に顎の骨を広げれば、歯が十分に生えるためのスペースを確保でき、抜歯のリスクを減らせるでしょう。
後戻りしにくい
上顎全体を広げると同時に歯体移動もする急速拡大装置は、後戻りしにくい治療法です。特に子どもの矯正では、顎の成長時期に上顎の骨自体を拡大することで、骨の状態が安定します。
十分なスペースを確保した状態で永久歯が生えてくるため、歯も動きにくく安定しやすいのです。
口呼吸の改善が期待できる
急速拡大装置を使用すると、美しい歯並びを手に入れられるだけでなく、口呼吸の改善も期待できます。口呼吸が続くと、口周りの筋肉が衰えて咀嚼や発音に影響が出たり、顔が老けて見えたりします。
また、常に口が乾燥している状態となり、虫歯や歯周病、風邪などのリスクが高くなるでしょう。
口呼吸の原因の1として、顎の骨格の形に問題があることが挙げられます。顎が十分に成長している場合は、歯列はU字型です。
上顎の形が狭い場合、V字型になることがあります。この状態だと、鼻周りの骨の構造も狭くなり、鼻だけで呼吸するのに十分な空気が通らない可能性があります。そのため、口呼吸になるケースも少なくありません。
急速拡大装置では、上顎を広げて理想的なU字型にするため、鼻周りの骨格の構造も整い鼻呼吸ができるようになるでしょう。
急速拡大装置の費用と期間
矯正治療を始めるにあたり、費用や期間の目安を把握することは重要です。急速拡大装置の治療にかかる費用や期間をまとめました。
費用の目安
急速拡大装置そのものの費用の目安は、3万円〜5万円です。それに加えて治療費などがかかるため、全体的に20万円〜30万円ほどを想定すると良いでしょう。
急速拡大装置を使った治療はもちろん、矯正治療は一般的に保険適用になりません。治療にかかる費用は全て全額負担なので、高額な費用がかかる傾向があります。
期間の目安
治療期間目安は、3か月〜6か月です。装置についているネジを毎日回しながら使用しますが、ネジを回す期間は1か月ほどです。
その後、装置をつけたままにして上顎の骨が安定するまで待ちます。ネジを回す期間や、骨が安定するまで待つ期間は状態によって異なります。
骨が柔らかく、変化がすぐに見られやすい子どもの矯正では、装置の装着期間が短いケースも少なくありません。装置をつけていると、食べ物に引っかかったり舌が当たったりと、ストレスに感じることもあるでしょう。
装着期間が短く、負担がかかりにくいことも、急速拡大装置の大きなメリットだと言えるでしょう。
急速拡大装置を使うときの注意点
急速拡大装置の治療では、下記のことに気をつけましょう。トラブルを防ぎ、スムーズに進めるためにも注意点を理解しておくことが重要です。
他の矯正との併用が多い
急速拡大装置だけで矯正治療をするのではなく、他の矯正と併用することが多いです。たとえば、歯並びや噛み合わせの微調整をするために、ワイヤー矯正やマウスピース矯正を併用します。
顎の骨が広がりスペースができることで、ある程度歯が並びやすくなりますが、完全には整いません。急速拡大装置は、歯並びを整える土台作りのための治療であることを覚えておきましょう。
痛みが出ることもある
急速拡大装置で顎の骨を広げるため、治療中に鈍痛程度の痛みが出ることもあります。特にネジを回す期間に痛みを感じやすいでしょう。また、鼻周辺の骨格にも働きかけるため、鼻がむず痒くなったり鈍痛を感じたりするケースもあります。
これは、骨が順調に拡大している証拠で、ネジを回す時期を過ぎると落ち着きます。我慢できないほどの激痛がある場合は、歯科医院へ相談しましょう。
自己管理が必要
拡大装置を使用して治療をするには自己管理がかせません。急速拡大装置は1日1回、ネジを回しながら使用します。子どもの矯正の場合、保護者の方がネジを回しながら治療をするケースが多いですが、ネジを回し忘れると治療はスムーズに進みません。
また、取り外しができない固定式の装置なので、装置に食べかすやプラークがつきやすいでしょう。歯ブラシだけでなく、タフトブラシなども併用して、しっかりと磨かなければ虫歯になります。
さらに、ガムやチューイングキャンディーなど、粘着性のある食べ物は控えることも大切です。このように治療をスムーズに進めるためには、子どもと保護者の方が協力して治療にあたる必要があります。
適応年齢や範囲が限られている
急速拡大装置での治療は、適応年齢や範囲が限られています。急速拡大装置で治療できるのは、混合歯列期に突入し、顎が最も成長する時期である6歳〜12歳の間です。
また、急速拡大装置での治療は、下顎には行えません。
鼻が広がる可能性もある
急速拡大装置を使うことで、上顎の骨格を広げます。このとき、鼻周りの骨格も拡大することがあり、一時的に鼻が広がったように感じる可能性もあります。
上記でも触れたように、鼻骨格が狭まることは口呼吸になる原因です。口呼吸の改善としてのメリットにもなると言えるでしょう。
また、ネジを巻く治療が終わり、骨格を安定させる時期に突入すると、鼻の広がりも落ち着いてきます。広がった鼻が元に戻るのにかかる目安期間は1年〜2年です。
急速拡大装置は大人も利用できる?
急速拡大装置は、基本的に子どもの矯正で使用することが多いです。症例によっては大人の矯正に利用することもあります。たとえば、重度の症例でない場合は、急速拡大装置を使って顎を拡大しスペースを作ることもあるでしょう。
しかし、大人は子どもとは異なり顎の成長が止まっており、骨が柔軟に広がりにくい状態です。そのため、アンカースクリューで装置を顎に固定し広げる方法でアプローチします。
子どもの矯正とは異なりますが、アンカースクリューで固定する治療法を採用するなど、工夫すれば大人でも利用できることがあります。
まとめ
今回は、急速拡大装置の目的や、注意点などを考えました。急速拡大装置では、上顎の骨を拡大して歯が並ぶスペースを作ります。狭かった歯並びが広がることで、正しい骨格へと改善され、鼻周辺の骨格にも良い影響が及びます。
歯並びが整いやすくなるだけでなく、鼻呼吸がスムーズにできるようになるケースも少なくありません。
他の矯正と併用して使用することや、自己管理が必要であること、鈍痛を覚える可能性があることなどを理解して治療にあたる必要があります。歯科医師からの説明をしっかりと聞き、納得した上で治療を進めましょう。
急速拡大装置での治療を検討されている方は、横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、虫歯・歯周病治療、インプラント、小児歯科、ホワイトニングなど、さまざまな診療に力を入れています。診療案内ページはこちら、ネット診療予約も受け付けておりますので、ぜひご活用ください。