こんにちは。横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」です。
インプラント治療は、歯を失った部分の顎の骨に、直接人工歯根を埋め込む治療方法です。自分の歯のように使用できることから、近年希望者が増えています。
ただし、すべての人にインプラント治療が適応できるわけではありません。
今回は、インプラント治療ができないケースと対処法について詳しく解説します。
インプラント治療ができない主な理由と対応法
インプラント治療は、年齢や身体状況、口腔内の状況によってできない場合があります。
18歳以下の年齢の人
18歳以下の人は骨が成長途中なため、インプラント治療を受けることができません。
成長途中に治療すると、将来の噛み合わせなどに悪影響を及ぼす可能性があります。未成年はインプラント治療をしてはいけないという決まりがあるわけではありませんが、18歳以下または20歳以下の方にはインプラント治療をしない歯科医院が多いです。
対応法としては、顎の骨の成長が止まってから治療を行うことが挙げられます。成長には個人差があるので、顎の成長が止まった時期にインプラント治療をするとよいでしょう。適切な時期になるまでは、取り外し式の義歯などで失った歯を補いましょう。
妊娠している人
妊娠している人は必ずインプラント治療ができないわけではありませんが、母子の身体に負担がかかるため、あえて妊娠中に治療をする必要はありません。
妊娠中は服用できる薬も限られているため、負担のかかる外科治療は避けるべきです。また、お口の中の変化などに敏感になるデリケートな時期でもあるので、緊急性のない治療は行わないほうがよいでしょう。
インプラント治療を受けたい場合は、産後に体調が落ち着いてから検討しましょう。早期に歯を失って将来的にインプラント治療を考えている場合には、妊娠時期と重ならないように早い段階で治療を行うのも選択の一つです。
虫歯や歯周病がある人
虫歯や歯周病があると、インプラント埋入手術の際に口腔内で感染を起こす可能性があります。感染が起きると、顎の骨とインプラント体がうまく結合できないことがあるのです。また、歯周病がある状態でインプラント治療を行うと、インプラント周囲が細菌に感染しやすくなります。インプラント周囲炎になると、インプラントが脱落する可能性もあるでしょう。
対応法としては、歯周病や虫歯の治療を先に行うことが挙げられます。虫歯の治療に比べて、歯周病の治療は時間がかかることが多いです。毎日の歯磨きの習慣を見直し、歯周病が進行しないようにしましょう。口腔内の状態が改善されれば、インプラント治療を行うことが可能です。
持病がある人
インプラントは外科手術のため、病気の状況によっては危険を伴うことがあります。インプラント治療ができない可能性がある主な病気は、以下のとおりです。
- 高血圧
- 糖尿病
- 骨粗鬆症
- 心疾患
- 腎疾患
病気の程度が軽い場合や症状をコントロールできている場合は、治療が可能なこともあります。インプラント治療を受けたい方は担当の医師に相談しましょう。
例えば糖尿病では、血糖値のコントロールができており、担当の医師が治療を受けても問題ないと判断すれば、インプラント治療を受けることができます。腎疾患においては、人工透析を受けておらず症状が軽ければ、インプラント治療を受けることができる場合もあります。
インプラント治療が禁忌の人
以下の疾患がある方は、全身に重篤な影響を及ぼす可能性があるため、インプラント治療をすることはできません。
- 免疫不全
- 放射線治療が必要な疾患
- 白血病などの血液疾患
- チタンアレルギー
上記の方はインプラント治療ができないため、インプラント治療以外の治療法を行います。
インプラント治療ができない場合の代替治療
インプラント治療ができない場合は、ほかの方法で失った歯を補わなくてはなりません。選択できる治療は、義歯とブリッジの2種類です。それぞれの特徴を解説します。
義歯治療の特徴
取り外し式の入れ歯を入れる治療です。歯を全部失った場合には総入れ歯、一部の歯を失った場合には部分入れ歯を選択します。いずれも保険適用で治療可能ですが、目立たないものや見た目がよいものを選びたい場合には、自費治療で行います。
部分入れ歯は、1本分から作ることが可能です。残っている自分の歯に「クラスプ」という金属のバネを引っ掛けて固定します。粘膜の上に入れ歯がのるので、違和感や異物感が生じる場合が多いです。また、自分の歯より噛む力が弱くなります。
周囲の歯にあまり影響を与えず装着できるので、将来的にインプラント治療を予定している場合、一時的に装着することもあるでしょう。
保険適用の入れ歯と自費治療の入れ歯の違い
保険適用の入れ歯は、プラスチックと金属のバネで構成されます。
自費治療であれば、金属のバネの替わりに、歯茎の色に似せた弾力性のある材料で全体を覆うように固定する「ノンクラスプデンチャー」などを選択することで、目立たず違和感の少ない義歯にすることができるでしょう。
ブリッジ治療の特徴
失った歯の両隣の歯を支えにして、橋渡しするように作る被せ物です。自分の歯のように使えますが、土台となる歯を削らなくてはならないのがデメリットです。
土台となる歯には通常よりも強い負荷がかかるため、ブリッジの治療が困難なケースもあります。
保険適用のブリッジと自費治療のブリッジの違い
保険適用のブリッジは、銀色の金属でできています。前歯部分は、表面にプラスチックのような素材を付けて、歯の色に似せることが多いです。
自費治療であれば、セラミックなどを選択でき、天然の歯に近い見た目にすることが可能です。
歯が抜けたまま放置するリスク
歯が抜けたまま放置すると、残っている歯に悪影響がでることがあります。顔全体が歪む、噛む力が弱くなるなど、全身に悪影響がでることもあるでしょう。歯を失った場合は、インプラント・義歯・ブリッジ、いずれかの方法で治療しましょう。
歯が抜けた状態を放置することが引き起こすリスクは、以下のとおりです。
- 歯がすき間に傾く
- 噛み合うべき反対の歯が伸びる
- 残っている歯への負担が大きくなる
残っている歯が動くなど、噛み合わせが乱れる可能性があります。失った歯が1本の場合でも乱れることは十分にあり得ます。
また、噛む力が弱くなると、認知症のリスクが上がる場合や周囲の筋肉のバランスが乱れて顔貌が崩れる場合もあるので、放置せずに早急に治療を行いましょう。
まとめ
インプラント治療ができないケースには、身体に影響を及ぼすことから治療を行えないケースと、適切に対応すれば治療が可能なケースがあります。インプラント治療を希望する場合は、ご自身の年齢や全身状態が治療可能な状態か確認しましょう。主治医がいる場合は必ず相談してください。
インプラント治療が難しい場合でも、歯がない状態を放置するのはよくありません。残っているほかの歯にも悪影響がでます。必ず失った歯を補う治療を受けましょう。
インプラントを検討されている方は、横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」にお気軽にご相談ください。
日付: 2023年6月13日 カテゴリ:歯のコラム and tagged 18歳以下, インプラント, ブリッジ, リスク, 代替治療, 保険適用, 免疫不全, 入れ歯, 妊娠, 対応法, 心疾患, 持病, 歯周病, 糖尿病, 義歯, 自費治療, 虫歯, 血液疾患, 高血圧