こんにちは。横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」です。
ワイヤー矯正は、歯並びを整えるための代表的な治療法です。長い歴史があり幅広い症例に対応できますが、装置が目立つなどデメリットのイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
実際に、近年ではワイヤー矯正よりも矯正装置が目立たない、マウスピース矯正に注目が集まっています。
しかし、ワイヤー矯正でも、装置の種類によっては目立たせずに治療することも可能です。また、ワイヤー矯正ならではと言えるメリットもたくさんあります。
今回は、ワイヤー矯正のメリット・デメリットや、治療にかかる費用と期間の目安について解説します。
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正とは、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯に力を加えることにより、徐々に歯を動かして歯並びを整える方法です。
歯の根っこの周りには、歯を支えている骨(歯槽骨)があり、歯と歯槽骨の間には歯根膜というクッションの役割を果たす膜があります。矯正器具によって歯に力を加えることで、歯根膜が圧迫されて縮み、歯を動かしたい方向にある歯槽骨を溶かします。
反対側の歯根膜は引っ張られて伸びるため、伸びた歯根膜がもとの厚さに戻ろうとして、もともと歯があった場所には骨が再生されます。矯正治療では、このように歯槽骨の吸収と再生を繰り返しながら、歯を少しずつ移動させて歯並びを整えるのです。
ワイヤー矯正の種類
ワイヤー矯正には、以下の3つの種類があります。
- 表側矯正(唇側矯正)
- 裏側矯正(舌側矯正)
- ハーフリンガル矯正
詳しく解説します。
表側矯正(唇側矯正)
表側矯正とは、ブラケットとワイヤーを歯の表面に装着する方法です。ワイヤー矯正の最も一般的な方法であるため症例数も多く、さまざまな歯並びに対応できるという特徴があります。
しかし、表側に矯正装置を装着するため、矯正装置が目立ちやすい点はデメリットでしょう。
裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正とは、歯の裏側にワイヤーとブラケットを装着する方法です。歯の裏側に矯正装置を装着するので、装置が目立たないことが最大の魅力でしょう。
しかし、装置が裏側にあることで舌の動きが制限されて話しにくく、発音に影響が出る場合があります。表側矯正よりも費用が高額になることもデメリットでしょう。
また、歯並びによっては対応できない場合があります。取付けや調整に高度な技術が必要なため、取り扱っていない歯科医院もあります。
裏側矯正を希望する場合は、事前に歯科医院に確認をしましょう。
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正とは、表側矯正と裏側矯正を掛け合わせた矯正方法です。目立ちやすい上の歯を裏側矯正、下の歯は表側矯正で行うため、装置が目立ちにくく費用を抑えられます。
上の歯だけでも裏側矯正を行うことで、矯正中の見た目の印象は大きく変わります。そのため、見た目によるストレスも軽減できるでしょう。
ワイヤー矯正の装置の種類
ワイヤー矯正では、ブラケットとワイヤーの2つの装置を使用します。これらの装置にはそれぞれ種類があ理、特徴も異なるためご自身に合ったものを選択しましょう。
ブラケットの種類
以下に、ブラケットの種類を3つご紹介します。
メタルブラケット
メタルブラケットは、最も一般的に使用されている金属で作られたブラケットです。金属製のため目立つデメリットがありますが、強度と耐久性が高く破損のリスクが低いというメリットがあります。
高く耐久性に優れているため、重度の歯並びの乱れにも対応できます。
プラスチックブラケット
プラスチックブラケットは、透明であるため目立ちにくいことが大きな魅力です。
しかし、プラスチックなので金属性のブラケットに比べると弱く、大きな力をかける必要のある歯並びの乱れが重度の場合には向きません。また、食べ物や飲み物による着色や、時間の経過によって変色を起こす可能性があります。
プラスチックブラケットは、装置の見た目を気にする方にとっては良い選択肢と言えるでしょう。
セラミックブラケット
セラミックブラケットは、虫歯治療後の詰め物や被せ物でも使用される、セラミック素材のブラケットです。セラミックは着色や変色を起こしにくく、天然歯に近い色調を再現できるという特徴があります。そのため、審美性を重視する方に選ばれることが多いです。
また、高い強度と耐久性があるため、重度の歯並びの乱れの場合でも対応できるでしょう。
装置の目立ちにくさと耐久性を合わせ持ったブラケットですが、金属やプラスチックのブラケットに比べて、費用が高額になる点はデメリットです。
ワイヤーの種類
主なワイヤーの種類は以下の2種類です。
メタルワイヤー
メタルワイヤーは、最も一般的に使用されている金属のワイヤーです。
ステンレススチールやチタンなど、強度が高く耐久性に優れた金属で作られており、歯に矯正力をしっかりと伝えることができます。そのため、メタルワイヤーは重度の症例の治療にも効果的です。
しかし、メタルワイヤーは金属であるため、目立ちやすいというデメリットがあります。歯列矯正を行っていることを他人に知られたくない方や、見た目を重視する方は、別の種類のワイヤーを検討したほうがいいかもしれません。
ホワイトワイヤー
ホワイトワイヤーは2種類あります。メタルワイヤーを白く塗装したものと、ロジウムという白い金属でコーティングしたものです。どちらも白いワイヤーであるため、メタルワイヤーに比べて目立ちにくいです。
しかし、メタルワイヤーに白い塗装をしたものは、歯磨きや食事などの摩擦によって塗装が徐々に剥げて、銀色の金属ワイヤーが露出する可能性があります。ロジウムという金属でコーティングしたものは、金属塗装のため使用中に剥げてくることはほとんどありません。
目立ちにくいブラケットと使用することで、より自然な見た目を保ちながら矯正治療を進められるでしょう。
ワイヤー矯正のメリット・デメリット
ワイヤー矯正のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
ワイヤー矯正のメリットについて解説します。
対応できる症例が多い
ワイヤー矯正には、対応できる症例が多いというメリットがあります。マウスピース矯正では対応が難しいとされている、歯を大きく動かす必要がある歯並びや、複雑な歯の移動が必要な歯並びでもワイヤー矯正であれば対応できるでしょう。
装置の自己管理が不要
ワイヤー矯正で使用する装置は固定されており、自分で取り外しができません。そのため、マウスピース矯正のように装着時間などを自己管理する必要がないのです。
自己管理が苦手な方や面倒な方にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。また、装置の紛失の心配もありません。
細かな調整ができる
ワイヤー矯正は、歯並びの状態や治療速度に合わせて細かく調整が可能です。ゴムを使って一部の歯により強い圧力をかけ、歯を動かすこともできます。
歯の動きやすさなどには個人差があるため、矯正治療は当初の計画通りに進まないことも珍しくありません。ワイヤー矯正は細かな点を修正しつつ調整できるので、予定している位置に歯を動かしやすい点はメリットでしょう。
デメリット
ワイヤー矯正のデメリットについて解説します。
装置が目立ちやすい
ワイヤー矯正のデメリットには、装置が目立ちやすいことが挙げられます。人前で話す機会が多いなど、見た目が気になる方にとっては歯列矯正に踏み出せない理由となることもあるでしょう。
しかし、このデメリットは裏側矯正や目立ちにくい種類の矯正装置を選択することで、解決できます。
歯磨きや食事がしにくい
ワイヤー矯正は装置が固定されており、自分で取り外しができません。食事や歯磨きの際も装置をつけたまま行わなくてはいけないため、食べ物が装置に詰まりやすく食事がしにくいと言われています。
また、装置があるため歯磨きもしにくく、磨き残しが多くなりやすいです。虫歯や歯周病のリスクが高まる点はデメリットでしょう。
ワイヤー矯正の費用目安
ワイヤー矯正は、基本的には保険適用外の自費治療となるため、歯科医院によって費用が異なります。また、選択するワイヤーやブラケットによっても費用が異なるため、実際にかかる費用は歯科医院で確認しましょう。
ワイヤー矯正の費用目安は、以下の通りです。
- 表側矯正:60万円~130万円程度
- 裏側矯正:100万円~170万円程度
- ハーフリンガル矯正:80万円~150万円程度
ワイヤー矯正の期間目安
ワイヤー矯正の治療期間は、一般的には全体矯正で1年半〜3年程度、部分矯正で3ヶ月〜1年程度が目安です。
ただし、元々の歯並びの状態や、個人の歯の動き具合などによってかかる期間は変動します。特に、重度の歯並びの乱れを治療する場合などは長くなりやすいでしょう。
また、治療後は歯が元の位置に戻らないように、保定装置を装着して固定する必要があります。保定装置(リテーナー)を矯正治療と同程度の期間、装着しなければならないことも知っておきましょう。
まとめ
ワイヤー矯正は長い歴史があるため症例数も多く、幅広い歯並びの問題に対応できるメリットがあります。矯正装置が目立つというデメリットはありますが、裏側矯正や目立ちにくい種類の装置を選択することで、装置を目立たなくできます。
ワイヤー矯正をする際には歯科医師としっかり相談し、メリット・デメリットを理解したうえで、自分に合った矯正方法を選択しましょう。
ワイヤー矯正を検討されている方は、横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、虫歯・歯周病治療、インプラント、小児歯科、ホワイトニングなど、さまざまな診療に力を入れています。診療案内ページはこちら、ネット診療予約も受け付けておりますので、ぜひご活用ください。
日付: 2024年10月16日 カテゴリ:歯のコラム and tagged ワイヤー矯正