こんにちは。横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」です。
インプラントと差し歯はどちらも人工物で歯を補う治療で、混同されることが多いです。
治療方法や構造に大きな違いがありますが、詳しくご存じの方は少ないのではないでしょうか。
今回は、それぞれの違いや詳しい治療方法について解説します。
インプラントと差し歯、どちらの治療方法がご自身に合っているのか知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
インプラントとは?
インプラントとは、顎の骨にインプラント体と呼ばれる歯根の代わりとなるパーツを埋め込み、その上に人工歯を被せる治療方法です。歯根から歯を失った場合や、重度の
虫歯や歯周病で治療しても歯を残すことができない場合などに行われます。
歯根が残っている場合は、抜歯後にインプラントを埋め込みます。
インプラントのパーツは、インプラント体・アバットメント・人工歯に分かれており、それぞれを連結させることで人工歯として機能します。歯根から補うことで、天然の歯のように噛めるようになるのです。
人工歯には、さまざまな素材が使われます。その中でも機能性・審美性の両方を兼ね備えたセラミックを選ぶ方が多いです。
インプラント治療は、基本的には自由診療で健康保険が適用されません。保険診療と比較すると、費用は高額になります。
差し歯とは?
差し歯は、歯根が残っており上に被せ物をしても問題ないとされるときに選択される治療方法です。ご自身の歯根に土台を立てて、人工歯を被せます。
差し歯は、使用する素材によって保険診療と自由診療に分けられます。保険診療で選べる被せ物の種類はレジンや金属などで、自由診療ではセラミックなどの審美性の高い素材を選ぶことができます。
インプラントと差し歯の違いは何?
ここでは、インプラントと差し歯の違いをご紹介します。
<インプラントと差し歯の違い>
治療法 | インプラント | 差し歯 |
---|---|---|
歯根の有無 | 無 | 有 |
見た目 | 天然の歯に近い | 使用する素材によっては目立つ |
治療期間 | 3ヶ月〜1年程度 | 1〜2ヶ月程度 |
費用 | 自由診療で1本30〜40万円程度 | 保険診療の場合:3,000〜1万円程度 自由診療の場合:4〜20万円程度 |
インプラント治療では、歯茎を切開し顎の骨に金属のパーツを埋めるために外科手術を行います。また、顎の骨とインプラント体が結合するのに時間を要するため、待機期間が数ヶ月あります。治療期間は差し歯と比べると長くなるでしょう。
差し歯は外科手術が不要で、治療期間が短いです。選択する素材によっては費用を抑えられることもメリットでしょう。
インプラント治療の流れ
次は、インプラント治療の流れを解説していきます。
- 精密検査
- インプラント体の埋入
- 待機期間
- アバットメントのとりつけ
- 人工歯の装着
- 定期メンテナンス
それぞれ解説します。
①精密検査
インプラントは外科手術を伴う治療のため、事前にさまざまな検査を行います。顎の骨の量や高さを確認し、インプラント治療が可能かどうかを判断します。
そのため、歯科用CTなどを用いて詳しく検査します。
②インプラント体の埋入
検査結果に問題がなければ、インプラント体を顎の骨に埋入します。歯茎を切開するため麻酔を行いますが、入院の必要がないケースが多いので日帰りできます。
③待機期間
インプラント体の埋入後、インプラント体と顎の骨がしっかり結合するのを待ちます。インプラント体が定着するまでの期間には個人差がありますが、一般的に2〜3ヶ月程度かかることが多いです。
待機期間は、特にトラブルがない限り通院の必要はありません。
④アバットメントのとりつけ
インプラント体と顎の骨が定着したことを確認できたら、再び歯茎を切開してアバットメント
アバットメントを取り付けた後は、しばらく歯茎が腫れる方が多いです。数週間様子を見て、歯茎の形が整ってから型取りを行います。
⑤人工歯の作成・装着
人工歯を作るために型取りを行います。完成した人工歯を装着すれば、治療は完了です。
⑥定期メンテナンス
インプラント治療が終わった後でも、3ヶ月〜半年に一回の頻度で定期メンテナンスに通いましょう。インプラントの人工歯には、エナメル質が存在せず酸で溶けることがないため、虫歯になることはありません。
しかし、インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病に似たトラブルが起こりやすいです。インプラント周囲炎になると、最悪の場合インプラントが抜け落ちることもあります。
定期的なクリーニングや検査が、インプラントを長く使うために非常に重要です。
差し歯の治療の流れ
差し歯治療の流れは、以下のとおりです。
- 根管治療
- 土台作り
- 差し歯の装着
- 定期メンテナンス
それぞれ解説します。
①根管治療
差し歯の治療では、インプラントのように事前に顎の骨の高さなどを検査する必要はありません。顎の骨に歯根の代わりとなるものを埋め込む必要がないので、顎の骨の状態に治療結果が左右されることはないのです。
しかし、神経を取り除き、根管内部を洗浄・消毒する根管治療を行う必要があります。神経が残っていると、差し歯を入れたときに痛みがでる恐れがあるためです。
根管治療は何度かに分けて行うため、3〜5回程度の通院が必要になるでしょう。
②土台作り
次に、差し歯を装着するための土台をたてます。根管治療では、神経だけでなく血管も取り除くため、治療後の歯は脆くなります。血液や酸素など、必要な栄養が歯に届かなくなるためです。
土台を立てなければ、噛む衝撃に耐えられず残った部分が割れたり欠けたりする恐れがあるでしょう。土台の種類は、以下のとおりです。
- メタルコア
- レジンコア
- ファイバーコア
メタルコアは金属でできた土台のことで、衝撃に強いという特徴があります。
時間の経過とともに金属の成分が溶け出し、歯茎が黒っぽく変色するリスクがあることがデメリットです。前歯などの目立つ部分や、金属アレルギーの方の治療には向かないでしょう。
レジンコアは、歯科用プラスチックできた土台のことです。強度は金属に劣りますが、費用はリーズナブルです。
ファイバーコアは、グラスファイバーの芯をレジンで補強した土台のことを指します。天然の歯に近い適度な弾力性があるので、残った歯が割れにくいというメリットがあります。
金属を使用しないので、アレルギーや歯茎の変色の心配はありませんが、費用がほかの素材と比べると高額になります。
③差し歯の装着
土台をつけた状態で型取りを行い、完成した差し歯を装着します。被せ物の素材としては、セラミックやレジンなどが選択できます。
使用する素材や治療する場所によって、保険適用かどうかが異なります。
④定期メンテナンス
差し歯の場合は、インプラントと違いご自身の歯が残っているので、虫歯になる可能性があります。神経を取り除いているため、痛みなどの虫歯の自覚症状を感じられず発見が遅くなるケースが多いです。
虫歯が進行していると、差し歯にできないほど歯を削らなければならないこともあります。その場合は、抜歯を行ってインプラントやブリッジなどのほかの治療方法を検討する必要があるでしょう。
差し歯治療後も定期メンテナンスに通い、虫歯などのトラブルが起こっていないかチェックしてもらってください。
まとめ
インプラントと差し歯の大きな違いは、歯根が残っているかどうかです。
インプラントは外科手術を伴い、費用や治療期間がかかりますが、天然の歯に近い機能性と見た目を叶えられる可能性が高いです。
差し歯は治療期間が短く費用を抑えることができますが、素材によっては周りの歯と馴染まず目立つでしょう。
歯の状態や治療を行う場所、予算などによってどちらを選べばいいかは変わります。治療に不安や疑問を抱える方は、お近くの歯科クリニックへ相談しましょう。
インプラントや差し歯の治療を検討されている方は、横浜市緑区にある歯医者「礒部歯科医院」にお気軽にご相談ください。